大観山でのレッカー帰宅から始まった点火不良との闘いも、いよいよ今回が最終章です。ドイツからNOS品のピックアップコイルが届き、抵抗値も規格内であることを確認しました。あとは取り付けて、エンジンをかけるだけ。シンプルなようで、旧車乗りにとっては毎回緊張を伴う瞬間です。
前回の記事はこちら:FZ750(2GHエンジン)点火不良との闘い(その2)eBayから届いた希望の小箱
まずはイグナイターユニットを確認する
私のFZ750に搭載されているFZR1000 2GHエンジンのピックアップコイルは、イグナイターユニットと直接接続されています。左側のコネクタがピックアップコイルのコネクターです。

私のFZ750のエンジンは2GHですが、電装系は2LM(1987年式 FZR750)の流用です。イグナイター「TID14-60」という記載とともに、「2LM-10」と記載されています。
このイグナイターは2LMの電装系にしてから2個目です。いつまでの現役で動いてくれるよう祈りつつ作業を行います。
ついでにコネクターを磨く
イグナイターユニットを取り外したついでに、端子の清掃も行います。用意したのは「接点復活王(POLY-COL KING)」と歯間ブラシと綿棒。スライド接点専用の接点洗浄剤で、旧車の電装系メンテナンスには定番の一品です。

端子部分を綿棒や歯間ブラシで丁寧に磨いていきます。長年の酸化や汚れが少しずつ落ちていく様子は、地味ながら達成感があります。
電装系のトラブルの多くは接触不良が原因であることを考えると、こうした地道な清掃が長期的な安定稼働につながるのでしょう。
古いピックアップコイルを取り外す
イグナイターユニットの清掃が終わったら、本題のピックアップコイル交換に入ります。ピックアップコイルの右側のボルトを外し、古いピックアップコイルを引き抜きます。

長らく役目を果たしてくれたピックアップコイルが、ようやく引退です。
新旧ピックアップコイルを比較する
取り外した古いピックアップコイルと、ドイツから届いたNOS品のピックアップコイルを並べてみました。左が古いピックアップコイル(2GH-81670-10)、右がNOS品のピックアップコイル(2KT-81670-10)です。
コイル本体の形状はほぼ同一ですが、ケーブル長に違いがありました。コネクターを除いたケーブル長は、2GH-81670-10が780mm、2KT-81670-10が700mmと80mm短いことがわかりました。
私のFZ750の場合、80mm短くても問題ありませんでした。

よく見ると、旧品(左側)はピックアップ部分の周辺の樹脂が溶けているようです。これが今回の点火不良の根本原因だったと断言はできませんが、長年の熱にさらされた結果として、じわじわと機能が低下していたのかもしれません。

新品ピックアップコイルを取り付ける
取り付けの際は、耐油性のあるニトリルゴム製のO-リング(内径19mm)を使用しました。エンジンオイルを少量塗布してから装着することで、スムーズに挿入することができます。

なお、本来はピックアップコイルのケーブルを保護するカバーがあるのですが、私のエンジンには入手当初からそのカバーが付いていませんでした。今回は配線が振動で断線しないように軽くワイヤーで保護しました。(保護になるのか?)いつかカバーも入手したいところです。

エンジン始動、そして試走へ
一通りの作業を終え、いよいよエンジン始動です。セルを回すと……一発始動。まずは胸をなでおろします。
近所を少し走って問題がないことを確認してから、より長距離の試走へ。向かったのは第三京浜です。アクセルを開けても変なもたつきはなく、スムーズに加速していきます。大観山でのあの苦い経験が、今さらながら遠い昔のことのように感じられました。
第三京浜の都筑PA(上り)で一休みがてら、取り付け部を確認します。

オイル漏れなし。ケーブルの取り回しも問題なし。走行中に点火不良を感じることも全くなく、気持ちよく走ることができました。
そして、ひとつ気になったことがあります。これまでより、信号待ちのアイドリングが心なしか力強くなったような気がするのです。……たぶん気のせいです。でも、長年一緒に走ってきたバイクが蘇ったような感覚は、気のせいではないと思っています。
まとめ
大観山でのレッカー帰宅から始まり、コネクター清掃、部品調達難、eBayでのNOS品入手と、長い道のりでした。振り返ってみると、旧車の維持とはこうした試行錯誤の連続なのだと改めて実感します。
ヤマハ純正の全品番が販売終了となった今、同じエンジンを積んだバイクに乗り続けるためには、世界中の在庫を探し回ることも選択肢のひとつです。EUR 150.80(約29,000円)という価格には正直驚きましたが、それでも走れるようになった喜びは、金額には代えられません。
同じFZR1000系エンジンのピックアップコイルでお困りの方の、少しでも参考になれば幸いです。
点火不良との闘い、完結です。



