前回は、ヤマハ発動機の公式パーツカタログから始まり、CMSNL.com、OEM-Bike-Parts、Bike-Parts-Yam、そしてYoshiPartsと、国内外のパーツショップを渡り歩いたものの、ピックアップコイルの入手には至りませんでした。
さて、どうしたものか。
前回の記事はこちら:FZ750(2GHエンジン)点火不良との闘い(その1)ピックアップコイル調達の壁
AIに相談してみた
途方に暮れつつも、次の手を探すためにAIとの対話を重ねました。すると、候補として挙がってきたのがeBayです。
eBayはアメリカ・イギリス・ドイツを中心に展開する、世界最大級のオークション・ECモールです。海外ではFZR1000の現存数が比較的多く、個人やショップから「OEM新品デッドストック」「部品取り車からの取り外し品」、あるいは「社外リプロ品(対策品)」が頻繁に出品されています。
検索するなら “Yamaha FZR1000 pickup coil” または “部品番号” がヒットしやすいとのこと。出品者が「International Priority Shipping(eBay国際配送)」に対応していれば、関税手続きも含めてスムーズに日本へ届きます。
eBayで部品番号を順番に当たっていく
私のFZ750に搭載されているFZR1000(型式 2GH)のエンジンに適合しそうな部品番号を、優先度順に検索していきます。
| 部品番号 | 適合車種 |
|---|---|
| 2GH-81670-10 | FZR1000(1987年式 2GH)、 FZR750(1987年式 2LM) |
| 2GH-81670-11 | 同上(後継品番) |
| 2KT-81670-10 | FZ750(1987年式 2MG) |
| 2KT-81670-11 | 同上(後継品番) |
| 3GM-81670-00 | FZR1000(1989年式 3GM)、 YZF1000R(1996年式 4SV) |
ひとつひとつ検索をかけていくと……ありました。2KT-81670-10がヒットしました。

NOS(新品デッドストック)という衝撃
しかも、ただの中古品ではありません。NOS(New Old Stock)、つまり長期在庫の新品です。製造から数十年が経過しているにもかかわらず、一度も使われることなく倉庫に眠り続けていたパーツということになります。旧車乗りにとって、これほど頼もしい言葉はありません。
出品者は Die Moped Schrauber というドイツのショップ。eBayへの登録は2005年3月と、長年にわたってバイクパーツを専門に扱ってきた実績あるショップです。ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキ・BMW・ドゥカティ・アプリリアなど、幅広いメーカーのパーツを取り扱っているようです。
但し、価格は、、、ぶっ飛んでいた
そんな歴史的価格を頭の片隅に置きつつ、eBayの購入画面に目を戻します。気になる価格はこちら。
本体:EUR 139.90
送料:EUR 10.90
合計:EUR 150.80
購入時のeBayで表示された日本円の金額は 29,112円(1 JPY = 0.00518 EUR)
さすがにこの金額、即決とはいきませんでした。数日間、真剣に悩みました。しかし考えてみれば、国内では「販売終了」が並ぶだけ。他に選択肢はありません。ここで手を引けば、またゼロから探し直すことになる。悩んだ末に、購入を決断しました。
ちなみに、新品時の価格は、、、
こちらは、1987年式FZR750(型式2LM)のパーツリストに掲載された部品標準価格表です。

これによれば、ピックアップコイル(2GH-81670-10)の当時の定価は3,200円。(当時は消費税導入前)
それが現在では、eBayでピックアップコイル(2KT-81670-10)が29,112円。およそ9倍です。
旧車の部品代というのは、こういうものなのかもしれません。当時は「ちょっと交換しておくか」と気軽に買えたパーツが、年月を経るにつれてじわじわと希少価値を帯び、気づけば手が届きにくい存在になっています。FZ750に乗り続けるということは、こういう現実と付き合い続けることでもあります。それでも、手に入るうちに手に入れておく。それが旧車乗りの流儀というものでしょう。
注文から到着まで
注文後の手続きは、想像以上にスムーズに進みました。まず請求に関するメールが届き、翌日にはDHLで発送した旨の連絡が来ました。荷物はおよそ2週間ほどで日本郵便で届きました。

荷物を受け取る際に、通関税200円と消費税1,400円を支払いました。
今回の総額は以下とおりです(泣)
| 品名 | 価格 |
|---|---|
| ピックアップコイル代金+配送費用(eBay) | €150.80=29,112円 |
| 通関税 | 200円 |
| 消費税 | 1,400円 |
| 合計 | 30,712円 |
いよいよ開封
ドイツから海を渡り、2週間かけて届いた小さな箱。さっそく開封してみましょう。

こちらが届いたピックアップコイルです。NOS品と聞いてはいましたが、実物を見るとその状態の良さに少し驚きました。

ヤマハ純正のラベルにも相違はありません。

コネクターは未使用と思われる状態です。これだけで、少し気持ちが上がります。

ピックアップ部分も綺麗な状態を保っています。

抵抗値を測定する
外観を確認したところで、テスターを使って抵抗値を測定してみました。
結果は 154.7Ω。
FZR750(2LM)のサービスマニュアルに記載されているピックアップコイルの規格値は 135〜165Ω。今回測定した値はその範囲内にしっかり収まっています。NOSとはいえ長期保管品ですから、断線や劣化が心配でしたが、数値としては問題なさそうです。
まとめ
YoshiPartsで空振りに終わってから、正直なところ「このまま見つからないかもしれない」という不安がありました。しかし、eBayというプラットフォームの奥深さを改めて思い知りました。国内で「販売終了」と言われた部品も、世界のどこかの倉庫に眠っていることがある。旧車乗りにとって、インターネットと海外通販、そしてAIは今や欠かせない武器です。
EUR 150.80という金額は決して安くはありませんでした。しかし1987年当時の定価3,200円と比べてしまうと、時代の流れと旧車維持の現実をひしひしと感じます。それでも、状態の良いNOS品が手に入り、抵抗値も規格内。まずは上々の結果と言えるでしょう。
あとは実際にFZ750に取り付けて、点火不良が解消されるかどうか。次回はいよいよ交換作業に入ります。
次回、点火不良との闘い(その3)点火不良よ、さようなら!に続きます。





