FZ750 充電不良の特定と交換部品の検討|トラブルの原因はACゼネレータか?レクチファイアか?

スポンサーリング
メンテナンス

作業日:2025年9月15日(祝)
走行距離:62572.7 Mile

FZ750 生誕40周年ミーティングからの帰りは、新東名高速道路の森掛川ICに乗る直前でエンジンが止まり、自宅までレッカー車で帰って参りました。お力添え頂いた皆様、有難うございました。

当日交換したバッテリーが僅かな距離で低電圧となったので、充電系の不具合、特にACゼネレータの故障が濃厚というKさんの見立ては間違いないと思います。

では、故障診断を始めたいと思います。

充電系統点検

私のFZ750のエンジンはFZR1000(1987年式 2GH)のエンジンです。予めご了承ください。

私のFZ750は、エンジンはFZR1000(2GH)のエンジンですが、充電系は両者ともほぼ同一なので、FZ750のサービスマニュアルの充電系統点検ステップに従って、点検を行います。

点検ステップ

以下の順序で点検します。

1.バッテリーの点検
2.ヒューズの点検
3.カプラ、コネクタ、ワイヤーハーネス点検
4.ACゼネレータの点検
 4.1 レクチファイアの点検
 4.2 ステータコイルの点検
 4.3 ロータコイルの点検
 4.4 ブラシの点検

よく見ると、「ワイヤーハーネス」が「ワイマーハーネス」と書かれています。FZ750のサービスマニュアルは長年読み込んでおりましたが、この誤植には初めて気が付きました。

出典元:FZ750 サービスマニュアル 充電系統点検ステップ
出典元:FZ750 サービスマニュアル 充電系統点検ステップ

1.バッテリー点検

先日、YSP袋井で購入したバッテリー(BSバッテリーBTZ8V)をフル充電して、FZ750に取付けました。このバッテリーは密閉式バッテリー(MFバッテリー)なので、バッテリー液点検などは省略します。

キーをオンにしてスタートボタンを押したら一発でエンジンは始動しました。バッテリー自体には問題はなさそうです。

調子良さそうじゃんなんて思ったのもつかの間、電圧計の数値はエンジン始動前よりも低い12.66V。エンジンの回転数を上げても電圧は上がりませんでした。問題はバッテリー以外ですね。

FZ750は充電系の故障が濃厚
FZ750は充電系の故障が濃厚

2.ヒューズの点検

メインヒューズ、サブヒューズともに正常でした。

3.カプラ、コネクタ、ワイヤーハーネスの点検

充電系統に関するカプラやコネクターは全て正常でした。

4.ACゼネレータの点検

FZ750のエンジンのACゼネレータは黒一色ですが、2GHのエンジンのACゼネレータは中央部分が銀色の部品となります。

この銀色のカバーの内側にレクチフアイヤやレギユレータも収まっていますので、カバーを取り外します。

FZ750のACゼネレータ
FZ750のACゼネレータ

こちらが、レクチファイアとレギュレーターです。それぞれの役割は以下のとおりです。

レクチファイア:発電した交流電気から直流電気に交換する装置
レギュレーター:電気の電圧を整え、過充電を制御する装置

FZ750のACゼネレータの内部構造
FZ750のACゼネレータの内部構造

サービスマニュアルに従い、まずはレクチファイアの測定を行います。この5か所(赤、白(1)、白(2)、白(3)、黒)に対して、テスターで通電を確認します。

FZ750などの1980年代のサービスマニュアルの写真は不鮮明なので、測定箇所を写真でマークしました。

4.1 レクチファイアの点検

FZ750のレクチファイア
FZ750のレクチファイア

測定部分と通電の有無は以下のとおりです。

出典元:FZ750サービスマニュアル レクチファイアの点検
出典元:FZ750サービスマニュアル レクチファイアの点検

本来通電してはいけない、白(1)→赤、白(2)→赤、白(3)→赤が通電していますので、レクチファイアは不良ですね。

レクチファイアの通電してはいけない箇所が通電していた、従ってレクチファイア不良
レクチファイアの通電してはいけない箇所が通電していた、従ってレクチファイア不良

4.2 ステータコイルの点検

ステータコイルの点検は、レクチファイアの白(1)、白(2)、白(3)のそれぞれの間の抵抗値を測定します。
白(1)と白(2)、白(1)と白(3)、白(2)と白(3)の抵抗値は問題ありませんでした。

出典元:FZ750サービスマニュアル ステータコイルの点検
出典元:FZ750サービスマニュアル ステータコイルの点検

4.3 ロータコイルの点検

ブラシホルダーを外すとロータコイルの点検が行えます。
手前と奥側の抵抗値には問題はありませんでした。

出典元:FZ750サービスマニュアル ロータコイルの点検
出典元:FZ750サービスマニュアル ロータコイルの点検

4.4 ブラシの点検

ブラシの使用限度は4.5mmです。このブラシは8mmぐらいは残っているので異常なしですね。

ACゼネレータのブラシ残量は問題ない
ACゼネレータのブラシ残量は問題ない

結論

点検結果はレクチファイアの不良でした。Kさんお見事です。

1.バッテリーの点検 →正常
2.ヒューズの点検 →正常
3.カプラ、コネクタ、ワイヤーハーネス点検 →正常
4.ACゼネレータの点検 
 4.1 レクチファイアの点検 →不良
 4.2 ステータコイルの点検 →正常
 4.3 ロータコイルの点検 →正常
 4.4 ブラシの点検 →正常

発注するパーツ検討

今回故障しているのは、レクチファイア(発電した交流電気から直流電気に交換する装置)だけのようですが、レギュレーター(電気の電圧を整え、過充電を制御する装置)も経年劣化で故障する部品です。

FZ750などのACゼネレータはアッシーで提供されるので、レクチファイアやレギュレーターも含んでおります。長く乗る場合は部品が出るうちにACゼネレータアッシーで交換するのが最良かもしれません。

FZR1000(1987年式 2GH)のACゼネレ-タ

ヤマハ発動機 PC版パーツカタログでFZR1000(1987年式 2GH)のACジェネレータを検索すると、当然のごとく販売終了(廃盤)です。

部品番号部品名称希望小売価格(税込)
2GH-81600-51ACゼネレ-タアセンブリ販売終了

レクチファイア、レギュレーター、ブラシホルダは出ることはでるのですが、3点の合計金額 76,384円(税込)です。部品番号の始まりは36Yなので元々はFJ1100の部品だったようですね。

部品番号部品名称希望小売価格(税込)
36Y-81970-50レクチフアイヤアセンブリ33,880円
36Y-81910-50ボルテ-ジレギユレ-タアセンブリ36,410円
2KT-81619-50ブラシホルダアセンブリ6,094円

FZR1000(1989年式 3GM)のACゼネレ-タ

KさんのFZ750はFZR1000(1989年式 3GM)のエンジンには、XJR1300のACゼネレ-タがボルトオンで流用できたそうです。

海外のサイトで調べてみると、3GMのACゼネレ-タの型番はなんと2GHでした。(末尾は50と54の差がありますが、何か改善されたレベルと勝手判断)

部品番号部品名称希望小売価格(税込)
2GH-81600-54ACゼネレ-タアセンブリ販売終了

これは、2GHのエンジンにも、XJR1300のACゼネレ-タが流用できるような気がしてきました。

Kさんが作成した手書きXJR1300のACゼネレータ一覧
Kさんが作成した手書きXJR1300のACゼネレータ一覧

XJR1300のACゼネレ-タ

Kさんの調査の通り、2010年式と2015年式のACゼネレータは以下の品番でした。

年式 型式部品番号部品名称希望小売価格(税込)
2015年式 5UXK4KG-81600-01ACゼネレ-タアセンブリ111,100円
2010年式 5UXF5EA-81600-01ACゼネレ-タアセンブリ108,020円
出典元:ヤマハ発動機パーツカタログXJR1300(2010年式 5UXF)ゼネレータ
出典元:ヤマハ発動機パーツカタログXJR1300(2010年式 5UXF)ゼネレータ

2015年式の型番は4KGというXJR1200の部品なのか、、、
2010年式の型番は5EAというXJR1300の部品なのか、、、
インナーパーツの差はなさそうだが、なぜ価格が異なるのか、、、
そしてKさんが調査した今年の春よりも大幅に価格が上がっているのか、、、

色々考えるところはありますが、Kさんが流用している2010年式XJR1300(5UXF)のACゼネレ-タは3GMでの取り付け実績がある点は大きなポイントなので、私も5EA-81600-01を購入します。

あと、ACゼネレ-タの固定ボルトはXJR1300の物を使わないと届かないそうなので、19番と20番のボルトも併せて購入しました。

次はFZ750 ACゼネレータ交換を行います。

タイトルとURLをコピーしました