作業日:2026年9月19日
走行距離:64957.7 Mile
ライコランド柏店さんで塗装して頂いたクラッチカバーと、ようやく揃ったガスケット類。これでやっと車体への取り付けに取り掛かれます。
まずはクラッチカバー単体を組み立ててから、エンジンに付いている元のクラッチカバーと入れ替えます。
……が、外したクラッチカバーと並べてみたところで、想定外の事態に気が付くことになりました。
私のFZ750のエンジンはFZR1000(1987年式 2GH)のものとなりますこと、予めご了承ください。
用意した部品
今回の作業で使う部品を並べてみました。

塗装済みのクラッチカバーとカバーキャップ、内側に付くブリーザ、ガスケット3点、グロメットとボルト類です。
ガスケット類
ガスケットは3点です。

上がカバーキャップとクラッチカバーの間に入るリングラバー(1AE-15449-00 再利用品)です。左のクラッチカバーとエンジンの間に入るガスケット(ガスケット, クランクケースカバー2)は品番が2GH-15461-00から4FM-15461-00に変更されています。右のブリーザとクラッチカバーの間に入るガスケット(ガスケット, キャブレタカバー2)は「その4」でマニアックコレクションさんから購入した2GH-15463-00の互換品です。
グロメットとボルト類

手前がカバーキャップを留めるグロメット(4H7-15486-00)です。ゴムのブッシュで、金属同士が直接当たらないようにする部品ですので、新品に交換します。
奥の銀色のなべネジが、カバーキャップやブリーザを固定していた純正のネジです。今回はこちらを黒い六角キャップボルト(M6×10とM6×20)に交換しました。
理由は単純で、外すときになべネジの頭を少し舐めてしまったからです。
きつく締めてあるプラスのなべネジは、ドライバーが浮くとあっという間に舐めてしまいます。六角穴付きのボルトであれば、六角レンチがしっかり食い付くので、舐めるリスクを減らすことができます。
| 部品 | 品番 | 数量 | 備考 |
|---|---|---|---|
| リング, ラバー | 1AE-15449-00 | 1 | 再利用品 |
| グロメット | 4H7-15486-00 | 3 | 純正新品 |
| ガスケット, クランクケースカバー2 | 2GH-15461-00 →4FM-15461-00 | 1 | 純正新品 |
| ガスケット, キャブレタカバー2 | 2GH-15463-00 | 1 | 純正廃番、互換品を使用 |
| 六角キャップボルト | M6×10 | 3 | 純正なべネジから変更 |
| 六角キャップボルト | M6×20 | 6 | 純正なべネジから変更 |
カバーキャップの取り付け
まずは、クラッチカバーにリングラバー(1AE-15449-00)をはめ込み、その上からカバーキャップを取り付けます。リングラバーは、カバーキャップとクラッチカバーの間に挟まるゴムのリングです。溝に沿って、ねじれないようにはめ込みます。

カバーキャップは、クラッチカバーの裏側からボルトで留める構造です。クラッチカバーを裏返して、新品のグロメット(4H7-15486-00)を3か所に取り付けます。
グロメットにワッシャーを載せて、六角キャップボルト(M6×10)で固定します。

グロメットはゴム部品ですので、ほどほどのトルクで締め付けます。
これでカバーキャップの取り付けは完了です。
ブリーザの清掃とガスケット交換
続いて、クラッチカバーの内側に付くブリーザです。
なんでこんな部品が付くのか、AIに聞きました。
AI曰く、ブリーザとは
ブリーザ(ブリーザープレート、ブリーザ室とも呼ばれます)は、FZ750やFZR1000などのジェネシス系エンジンで、クラッチカバーの内側にガスケットを挟んで組み付けられている部品です。
主な役割は2つあります。
ひとつは、エンジン内部の圧力(内圧)を逃がすことです。エンジンが回ると、ピストンの上下動や、燃焼室からクランクケースに吹き抜けるブローバイガスによって、クランクケース内の圧力が変動します。この圧力の逃げ場がないと、オイルシールやガスケットからオイルが押し出される原因になってしまいます。
もうひとつは、オイルと気体を分離することです。クランクケース内の気体には、霧状になったオイルがたっぷり含まれています。そのまま外に出してしまうとオイルが減ってしまいますので、ブリーザ室の中で気体とオイルを分離し、オイルはエンジン内に戻して、気体だけをブリーザーホースへ逃がします。
つまりブリーザは、エンジンの内圧を逃がしながら、オイルを逃がさない「オイルセパレーター(気液分離装置)」の役割を担っているわけです。
ブリーザの清掃
こちらのブリーザは、合わせ面に古いガスケットのかすが少し残っていました。スクレーパーで丁寧に剥がしていきます。
アルミの合わせ面は傷を付けてしまわないように、刃を寝かせて丁寧作業します。

私が使っているのは、OLFA製のスクレーパー(T-25 200B)です。
合わせ面が綺麗になったら、マニアックコレクションさんで購入したガスケット(2GH-15463-00の互換品)を使って、ブリーザをクラッチカバーに組み付けます。

ガスケットを位置決めして、ブリーザを載せてボルトで固定します。

ブリーザが付きました。これでクラッチカバー側の準備は完了です。
エンジンからクラッチカバーを外す
いよいよ、エンジンに付いている元のクラッチカバーを外します。

立ちごけでクラックが入り、そこからオイルが滲んできていたのが、このクラッチカバーです。カバーキャップも腐食してまだらになっていますね。
FZ750/FZR1000などのジェネシス系エンジンの場合、サイドスタンドを掛けて左側に傾いた状態ならば、クラッチカバーを外してもオイルは漏れてきません。オイルを抜かずに、そのまま作業を進めることができます。
外したボルトは、段ボールに刺して位置を記録しておきます。

クラッチカバーのボルトは長さが2種類かありますので、適当に外すと組み付けで必ず迷子になります。段ボールを箱の形に開いて、カバーの形に合わせてボルトを刺しておけば、どのボルトがどの穴のものか一目瞭然です。
並べてみたら……ブリーザの形状が違う!
外したクラッチカバーと、今回組み立てた塗装済みのクラッチカバーを並べてみます。

左が組み立てたばかりの塗装済みクラッチカバー、右がエンジンから外したクラッチカバーです。
なんか、異なります。
ブリーザの形状が違う!
右側のブリーザは、右上の出っ張りが大きく張り出しています。左側のブリーザの出っ張りは、それに比べるとずいぶん控えめです。オイルセパレーターとしての部屋の形が、まるで違います。
ブリーザを外して、横から並べてみました。

上がエンジンから外したクラッチカバーに付いていたブリーザ(FZR1000 2GH)、下が塗装済みのクラッチカバーに付けたブリーザ(FZ750 2MG)です。
横から見ると違いは一目瞭然で、上のブリーザは出っ張りが塔のように高くそびえています。下のブリーザはその半分ほどの高さしかありません。
ここで改めてパーツリストを確認してみます。
| 車種(年式) | 型式 | 品番 | 部品名 |
|---|---|---|---|
| FZ750(1985) | 1AE | 1AE-15346-00 | ブリーザ 1 |
| FZ750(1985) | 1FM | 1AE-15346-00 | ブリーザ 1 |
| FZ750(1987) | 2MG | 1AE-15346-00 | ブリーザ 1 |
| FZ750(1991) | 3KS | 1AE-15346-00 | ブリーザ 1 |
| FZR750(1987) | 2LM | 1AE-15346-00 | ブリーザ 1 |
| FZR1000(1987) | 2GH | 2GH-15346-00 | ブリーザ 1 |
FZ750は年式を通して1AE-15346-00。FZR750(2LM)も同じ品番です。ところがFZR1000(2GH)だけが2GH-15346-00と、別品番になっていました。
それにしても、750と1000で、こんなにもブリーザの形状が異なるのですね。
FZR1000は排気量の拡大とともに、より高回転・高出力化されています。それにあわせて、ブリーザ室の容量自体が大型化されているのです。横から並べたときの出っ張りの高さの違いは、まさにこのブリーザ室の容量の差というわけですね。
外から見ればそっくりなクラッチカバーでも、内側をのぞいてみると、エンジンに合わせてしっかりと作り分けられている。ジェネシス系エンジンの奥深さを、あらためて感じました。
私の車体は1AEのフレームにFZR1000(2GH)のエンジンを載せていますので、ブリーザはエンジンに合わせて2GHのものを使います。
FZR1000(2GH)のブリーザを移植
というわけで、組み付けたばかりの1AEのブリーザを外して、エンジンから外したクラッチカバーに付いていたFZR1000(2GH)のブリーザ(2GH-15346-00)を、塗装済みのクラッチカバーに移植します。

右が2GHのブリーザを移植した塗装済みのクラッチカバー、左が外した1AEのブリーザです。
ブリーザ用のガスケットは、組み付けたばかりの互換品を再使用しました。組むときにオイルを塗っておいたおかげか、ブリーザを外してもガスケットが張り付かず、綺麗に剥がすことができました。廃番で互換品しかないガスケットですので、ここは助かりました。
右上の出っ張りが大きく張り出した、元の形に戻りました。これで、今度こそクラッチカバーの準備完了です。
外した1AEのブリーザは、FZ750のオーナーさんには必要な部品ですので、大切に保管しておきます。
クラッチカバーを取り付ける
元のクラッチカバーを外したエンジンがこちらです。

クラッチがむき出しになっています。クランクケース側の合わせ面には、新品のガスケット, クランクケースカバー2(4FM-15461-00)を貼ってあります。
このガスケットを挟んで、塗装済みのクラッチカバーを取り付けます。ボルトは段ボールに刺しておいたおかげで、迷うことなく元の位置に戻すことができました。
ところで、私はブリーザのガスケットも、クラッチカバーのガスケットも、エンジンオイルを塗ってから組んでいます。昔出入りしていたバイク屋さんで、ガスケットにはオイルを塗るものだと教わったからです。
ただ、ガスケットの組み付けについては色々な説があるようです。今時はオイルを塗らずに乾いたまま組むという考え方もあれば、液体ガスケットを併用するという考え方もあります。
どれが正解というよりは、ガスケットの材質や場所によっても変わってくるのでしょう。今回はオイルを塗っていたおかげでブリーザのガスケットを再使用できましたので、私としては結果オーライです。
完成
クラッチカバーの取り付けが完了しました。

七分艶ブラックのクラッチカバーに、バレル研磨とクリア塗装で仕上げたYAMAHAロゴのカバーキャップ。取り外す前の、腐食でまだらになったカバーとは見違えるようです。
鏡のようにとまではいきませんが、カバーキャップにはしっかり景色が映り込んでいますね。
もちろん、クラックの入ったクラッチカバーを交換しましたので、オイルの滲みもぴたりと止まりました。見た目だけでなく、本来の目的もきちんと果たせています。
次回はガソリンタンクの交換
立ちごけで傷めたクラッチカバーは、調達、ガスケット集め、塗装、そして今回の取り付けまで、4回にわたる作業でようやく完了です。
最後に、750と1000のブリーザの違いには驚かされましたが、元のクラッチカバーが手元にあったおかげで、すぐにブリーザを移植して取り付けることができました。
次回は、立ちごけで凹んでしまったガソリンタンクの交換です。
こちらの記事もあわせてどうぞ。












