自分のオートバイをカッコよくしたい!もっと性能を向上させたい!と思いますよね。排気量250cc超のバイクは定期的に車検があり、あまりにいじると車検が通らなく可能性があります。
構造変更という公認改造の手続きを行うことで、改造車でも合法的に公道を走ることや車検を通すことができます。構造変更に必要な手続きや必要書類について解説します。
※対象は車検が必要な250cc超のオートバイである小型二輪車といたします。
構造変更とは
構造変更は、正式には「構造等変更検査」といいます。
規定外の外寸の拡大や乗車定員、排気量の変更など、道路運送車両の保安基準に影響を及ぼす可能性のある改造を行った場合に行う手続きです。構造等変更検査の手続きは、車両が登録されている管轄の陸運支局か自動車検査登録事務所に申請します。
構造等変更検査では、変更箇所の検査と併せて通常の車検(継続審査)同様の検査も行うため、検査に通ると、その日から2年間が車検の有効期間となります。
改造箇所は車検証(自動車検車証)や自動車検車証記録事項に記載されます。
改造内容によっては、型式を新たにつけることができます。一般的には「〇〇改」のように元の型式の後ろに改造の「改」の字を入れる例が多いですが、任意に決めることもできますので、陸運支局等の担当職員の方に相談してみるとよいです。
構造変更を行うメリットとデメリット
構造変更を行うメリットとデメリットについて個人的な見解を記載します。
メリット
・構造変更を行うことで公道を走ることができます。
・構造変更箇所は不正改造車や整備不良とはではないので、取り締まりの対象とはなりません。
・次回の車検(継続審査)以降は、既に構造変更済みの箇所はそのままで継続審査を受けることができます。
デメリット
・最初の構造変更から30年たちますが、デメリットは一切感じません。
噂話のレベルでは、構造変更済みでも改造車は下取りが安くなるとか、任意保険の加入が断られたなど聞いたことはあります。
しかしながら、私自身は手放す予定がないので下取り金額がどうなるのかは分かりませんし、私自身は任意保険の加入や継続を断られたことはありません。
構造変更が必要なケースと不要なケース
1995年(平成7年)11月22日より軽微な変更となる自動車部品の取り付けについては、構造等変更に係わる諸手続きが簡素化されました。「軽微な変更に該当する条件」に該当する場合は構造変更は不要となります。
具体的に、1.部品の取付け方法、2.車体の寸法及び車両重量の一定範囲、3.指定部品と指定外部品、及び記載事項の変更などにより、構造変更が不要なケースと不要なケースに分かれます。
1.部品の取付け方法
部品の取付け方法は、以下の3種類に分類されます。
取付方法 | 内容 | 構造変更 |
---|---|---|
簡易的取付 | 両面テープ、蝶ねじ等、手で容易に脱着できるもの | 構造変更不要 |
固定的取付 | ボルト、ナット等、工具で容易に脱着できるもの | 構造変更不要 |
恒久的取付 | 溶接、リベット等、容易に脱着できないもの | 構造変更必要 |
2.車両寸法と車両重量の一定範囲
オートバイ(小型自動車)の場合、以下の車両寸法と車両重量が一定の範囲です。ハンドルのような指定外部品を装着する場合、この範囲内かどうかで手続きが変わります。
車種 | 全長 | 全幅 | 全高 | 車両重量 |
---|---|---|---|---|
小型自動車 | +30mm~-30mm | +20mm~-20mm | +40mm~-40mm | +50kg~-50kg |
車体寸法にはミラーは含まれません。
全長はバイクの前後の長さです。多くはフロントタイヤの一番前からナンバープレートステーの先端もしくはリヤフェンダーの先までとなりますが、車種によってはリヤタイヤの先までの長さとなります。
全幅はミラーを除く、横方向に一番飛び出した部分の長さです。多くはハンドル幅がそのまま全幅となります。
全高は地面からミラーを除く一番高いパーツまでの高さです。ハンドル、メーター、もしくはスクリーンまでの高さとなります。
3.指定部品と指定外部品
指定部品は、国土交通省の資料 「自動車部品を装着した場合の構造変更等検査時における取扱いについて(依命通達)」の 細部取り扱いについて 最終改正 平成15年4月8日付け国自技第6号 に記載されております。
オートバイの指定部品の例は以下のような部品です。それ以外が指定外部品となります。
分類 | 部品名 |
車体部品、 エアロパーツ類 | カウリング、スクリーン、エアスポイラー、フェンダースカート、その他エアロパーツ類 |
ラック類 | キャリア、その他ラック類 |
カバー類 | フェンダーカバー、その他カバー類 |
ガード類 | アンダーガード、その他ガード類 |
バイザー類 | ヘッドライトバイザー、ウインカーバイザー、その他バイザー類 |
その他車体部品 | フェンダー、グラブバー、バックレスト、ステップ、クラッチレバー、ブレーキレバー、ナンバー取り付けステー、任意灯火類等 |
原動機、 排気系統部品 | エキゾーストパイプ |
走行装置 | タイヤ、ホイール |
操縦装置 | 変速レバー |
緩衝装置関係 | コイルスプリング、ショックアブソーバー |
騒音防止装置関係 | マフラー、排気管 |
その他部品 | 指定灯火類(ヘッドライト、ウインカー、テールランプ、番号灯)、ミラー |
構造変更の必要不要マトリックス
1.部品の取付け方法、2.車体の寸法及び車両重量の一定範囲、3.指定部品と指定外部品の三つの条件で、構造変更の要不要が決まります。
3.指定部品と指定外部品 | 1.部品の取付け方法 | 2.車両寸法と車両重量 | |
一定範囲内 | 一定範囲外 | ||
指定部品 | 簡易的取付 | 構造変更不要 | 構造変更不要 |
固定的取付 | 構造変更不要 | 構造変更不要 | |
恒久的取付 | 構造変更必要 | 構造変更必要 | |
指定外部品 | 簡易的取付 | 構造変更不要 | 構造変更不要 |
固定的取付 | 構造変更不要 | 構造変更必要 | |
恒久的取付 | 構造変更必要 | 構造変更必要 |
具体的な例
もう少し具体的な例を上記のマトリックスに当てはめてみると以下のようになります。
例 | 詳細 | 構造変更 |
---|---|---|
全幅が2cm広いハンドルに交換 | 1.固定的取付 2.全幅が一定範囲(+20mm~-20mm) 3.指定外部品 | 構造変更不要 |
全幅が5cm広いハンドルに交換 | 1.固定的取付 2.全幅が一定範囲外 3.指定外部品 | 構造変更必要 |
全高がかわらないスクリーンに変更 | 1.固定的取付 2.全高が一定範囲(+40mm~-40mm) 3.指定部品 | 構造変更不要 |
純正より120mm長いスクリーンに交換 | 1.固定的取付 2.全高が一定範囲外 3.指定部品 | 構造変更不要 |
リム幅の広いホイールの交換 | 1.固定的取付 2.全高が一定範囲(+40mm~-40mm) 2.指定部品 | 構造変更不要 |
形式が異なるエンジンの換装 | 1.固定的取付 2.寸法と重量は一定の範囲内 3.指定外部品 原動機の形式が変更 | 構造変更必要 |
構造変更の手続きの流れ
構造変更は以下の流れとなります。
1.車両作成
車両を製作します。どのような内容でも構造変更の検査が通るわけではありませんので、管轄の陸運支局か自動車検査登録事務所に構造変更が必要であるか含めて相談してみましょう。
バーハンドルの変更に伴う全幅変更やスクリーン変更に伴う全高変更などの軽微構造変更の場合は準備する資料なども比較的簡単です。
2.構造等変更検査の準備(必要に応じて)
構造等変更検査の書類審査に向け、どのような資料の準備を行えばよいか、管轄の陸運支局か自動車検査登録事務所の窓口に相談します。相談時は、車検証、改造内容が確認できる写真、使用した部品などの情報、可能であれば記載した第1号様式も持参できるとよいです。
3.構造等変更検査:書類審査
第1号様式とその他に必要な資料(添付資料)を揃えて、管轄の陸運支局か自動車検査登録事務所の窓口に提出します。書類が受理されれば、車両検査の検査日を予約します。
4.構造等変更検査:車両検査
通常の車検(継続検査)と同様の流れです。変更箇所(改造箇所)は細かくチェックされます。
寸法や重量が変わっている場合は、寸法測定や重量測定も行われます。
この検査を通れば、新しい自動車検査証(車検証)と自動車検査証記録事項、検査標章(車検シール)が発行されて、公道を走ることができます。
届出様式
窓口に提出する届出様式の第1号様式などは、独立行政法人自動車技術総合機構のサイトからダウンロード可能です。
独立行政法人自動車技術総合機構 届出様式ダウンロード
昔の届出様式のサンプル
以下の資料は、平成11年(1999年)に、FZ750のエンジンをFZR1000(2GH)のエンジンに換装した際に使用したものです。様式のフォーマットは変更されていますので、このまま流用することはできませんが、何かの参考になれば幸いです。
最後に
この記事の情報は、旧サイト「Factory MASA!!」時代に記載した公認改造(構造変更)についての記事をリニューアルしたものです。本記事執筆時点である2023年の情報に改定した部分もありますが、一部古い情報もありますことご容赦ください。オートバイの構造変更を検討中の方のお役に立てば何よりです。